電力会社を辞めた理由㉜

どうも、しそです。

今回は、電力会社を辞めた理由㉜についてご紹介します。

(電力会社を辞めた理由㉛の続編です。)



高圧送電とは

俗に高圧需要家と呼ばれる、高圧受電(自家用電気工作物)の事業場。

(正しくは、高圧お客さまと呼ぶ。本来は死語であるが、未だ衰えない電力業界用語。)

世の中の大多数を占める、高圧以下の現場。

(出典:電力調査統計一般用電気工作物まで含めると、販売電力量:約73%。販売額:約82%。契約口数約99%。電験三種が、難易度の割りにニーズが高い理由が見て取れる。)

道路や民地に建つ電力柱より、6.6kVの高圧線を引込するため、責任分界点となる先方第一柱。

(通称:先方柱。一般的に電力柱より短く、敷地内に建っているため、見る人が見ればすぐに見分けが付く。)

一般的な装柱はその頂上より、引込用の腕金PAS吊架用の腕金(引込用の腕金と兼ねると省略)⇒VCT吊架用の腕金⇒避雷器&高圧CVTケーブル端末用の腕金⇒ケーブル用ブラケット用の腕金。

そして、主遮断装置(LBS、VCB)や変圧器(TR)等が収納された、キュービクルへと至る。

都会の電力会社管内では、何故かVCTがキュービクル内に設置される場合が多い。

需要家側は高コストで、電力側も取替が困難となり、理解不能。

(電柱の装柱【京都編①】を参照のこと。)

同様に、WHMやWhと称される電力量計も、電柱下でなくキュービクル内。

建物の屋上にでも設置された日には、月一の使用量の検針や、検満(失効切れ)に伴う取替時に地獄。

(先方柱を、柵で囲われた場合も同様。バルログの経験は、当然ある。)

これらの電力設備を現場で検査する仕事が、技術サービス担当に課された、高圧送電と呼ばれる業務。

(電力会社の年収④電力会社を辞めた理由㉗を参照のこと。需要設備を配電系統に接続する、重要な役目。)

当然のことながら、高圧受電設備が出来上がっていなければ、高圧送電は不可能。

事前に行われる工事の大筋としては、先方柱の建柱⇒機器の装柱⇒高圧引込線の延線。

(電力工事の認定を受けた、外線施工者が請け負うことが多い。電力工事と比べて単価が高く、美味。稀に、建て逃げするルールブレイカーも。)

同時並行で、キュービクルの設置⇒耐電圧試験及びリレー試験。

(内線施工者や電気主任技術者の出番。当然ながら、電力社員や外線施工者は、ノウハウゼロ。)

全てが完了次第、VCTの電源側をPASと接続⇒負荷側を高圧CVTケーブルと接続。

(稀に、VCTが繋がった状態で耐電圧試験を行われ、損傷することも。待ちわびた外線施工者による、ボルコンの接続忘れも悲惨。)

当然、工事時点では、電力社員が立ち会うことはない。

(その気になれば立ち会うこともできるが、二度手間。事業所から現場は遠く、そんな暇はない。)



接地なし素昇り

よって、需給開始日となる高圧送電日(内線施工者や電気主任技術者と立会いするタイミング)では、既にVCTは先方柱の上。

先方PASは開放(切)状態で、片側充電(通称:片充)と呼ばれる状況。

(PASの負荷側は、一応は充電していない。)

まずは、足元でWHMの検査を済ませ、先方柱へ素昇り。

(基本的に、現場は一人作業。狭い路地や散らかった工事現場に入っていくため、高所作業車は使えず軽自動車。)

柱上ではVCTの二次側端子を開き、制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル(CVV、通称:七心ケーブル)の結線確認。

(電線色別&15kgf・cm締付トルク。稀に、絶縁トルクドライバを使用していても捻じ切れることがあり、最悪の場合は吊替。)

その電線色別は、左より、緑・黒・赤・黄・青・白・茶。

(参考資料:P.12)

記憶に頼り切り、誤結線を見逃すとVCTが焼損し、配電線事故。

(特に、8sq以上は黒色の絶縁被覆しか存在せず、非常に危険。その場合の符号は、左より、4・1・3・5・7・2・6の番号。詳細は不明だが、電線の配置による電磁的影響の低減か?)

この時に、肝となるのがVCTの向き。

VCTの構造は、左が電源側(高圧)、右が負荷側(高圧)、正面が二次側(低圧)。

装柱する腕金が、電力柱から見て、右に突き出ると、正面は内向き。

この場合は、先方柱とVCT本体の間に二次側端子が来るため、容易に手が届く。

その逆で、電力柱から見て左に突き出ると、正面は外向き。

問題となるのは、このパターン。

人間の腕の長さは、概ね70~80cm。

遠端(背面)となる、二次側端子まで手が届くはずがなく、目視による色別や締付トルクの確認は、到底不可能。

この場合の数少ない限られた対処法としては、避雷器やケーブル用ブラケットが取付された腕金に足を掛け、無理やり身を乗り出し。

(VCTの構造上、致し方がないものの、真に不条理。)

当然ながら、人体は避雷器のリード線や、VCT負荷側~高圧CVTケーブル間の絶縁電線に接触。

(保護具・安全用品の選び方を参照のこと。高圧活線近接作業となるため、PAS負荷側への短絡接地器具の取付は、まず出来ない。)

その際に運悪く、柱上安全帯の胴綱がPASの赤色引綱に干渉すると、どうなるか。

PASは誤投入(入)、接触していた電線が高圧充電部となり、即死。

(接地体とも呼ばれる、電柱。導体ではないものの、絶縁体でもない。1線地絡であれば、人体の通電経路によっては助かることもあるが、短絡の場合は丸焦げ。)

また、腕金を留めるバンドの締付が甘いと、腕金ごと墜落。

(余りにも、理不尽。命のバーゲンセール。)

上手く生き残れば降柱し、電気主任技術者による瞬投の後に、仮送電。

(電力会社を辞めた理由⑱を参照のこと。不確かな技術で、信頼性は低い。)

最後にSOG制御装置の動作試験を行い、本送電。

(波及事故や感電・死傷事故を起こすと、個人・法人とも重大な社会的責任が生じ、電気主任技術者とともに刑事罰・民事罰。)

こんな綱渡りを、毎日どこかで行っている配電系電力社員。

それでいて、会社での評価は最下位。

一向に上がらないのは、給料と人間の尊厳。

そりゃー、辞めるわな。

 

以上、電力会社を辞めた理由㉜についてご紹介しました。

電力会社を辞めた理由㉝にて、引き続きまとめていきたいと思います。

それでは、また。