電力会社を辞めた理由㉞

どうも、しそです。

今回は、電力会社を辞めた理由㉞についてご紹介します。

(電力会社を辞めた理由㉝の続編です。)



重すぎる資材

電力会社の配電部門では、電柱上での電気工事(通称:外線・引込線工事)が主な仕事の一つです。

その際に、地上から持って上がれるのは、腰道具にぶら下げた小さな腰袋一つ。

(両脇に足場ボルトが入るが、あまり使うことはない。開けっ放しのフック部分からは、引込線用直線スリーブ・銅管スリーブが頻繁に転がり落ちる。)

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藤井電工 ツヨロン(TSUYORON) 安全帯付属品 安全帯付属品 腰袋 P-288-JAN-BX [落下防止 電気工事 高所での安全作業]

その容量を考えると、精々が電線ヒューズ電気絶縁用ビニルテープ等の小物だけ。

工事に必要な資機材(資材・工具)をたくし上げるためには、柱上員が電柱上からロープを下ろし、地上員が工具袋を結ぶ。

(明らかに軽いものは、細引きロープ。太引きロープは取り回しが悪く、扱い辛い。)

安全帯用各種フックを取付・改造し、足場ボルトからの落下防止を図っている。

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通常、新入社員が配属される部署は、保守担当。

その役目は、不点保修等の2人以下の軽作業では、柱上員。

雑工事(通称:雑工)と呼ばれる、3人以上の重作業では、地上員。

よって、研修センターにおける厳しい訓練により、ロープの結び方の習得が絶対。

(ところが、いざ現場に配属されると、もやい結びひばり結びの2種類しか使わない。結びが強く、使い勝手が良い。)

工具袋に入れる代表的な資材は、高圧中実ピンがいし(1個:2.6kg)。

三相分で7.8kgと、中々の重量物であるが、こんなものは序の口。

俗に、ストレンと呼ばれる高圧耐張がいし(1個:2.0kg)は、通常2個連で使用される。

当然、碍子だけで架線できるわけがなく、高圧絶縁電線を噛ませるための引留クランプが必要。

(引留クランプの施工方法は、銅線用は比較的簡単だが、アルミ線用は難しい。横着してモンキーレンチで碍子を叩き、損傷させるまでが一連の流れ。)

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ロブテックス(エビ) モンキレンチ 250mm(絶縁機能付グリップ) S36

正確な参考資料がなく恐縮であるが、高圧アルミ電線用引留クランプ(32sq用・120sq用)から察するに、1個:1.0kg~1.5kgと思われる。

このことから、引留め装柱に必要な三相分は、最低でも15.0kg。

(振分け装柱に必要な三相分は、30.0kg。ここまで来ると、一つの工具袋には入りきらない。)

一見、碍子よりも重厚な腕金が6.0kg~11.8kgであることを考えると、この重さは異常。

(参考資料:P.17)

以上は、一般地区の碍子仕様である。

(耐塩地区の碍子仕様は更に重く、工量は同じ。益々救われない現場。)

電柱上では、手や体を電柱から離して作業することが基本。

“東京電力では研修で電柱の上で腹筋をする伝統がある トリビアの泉

脳みそどころか、体中の隅々まで筋肉。

こうでなければ、配電の現場は到底務まらない。



使いこなせない工具

資材ほどではないが、工具についても相当の重量。

(一瞬だけ持ち上げる資材と比べると、常に振り回す必要のある工具の方が、酷。)

永木精機ハルー張線器カムラー掴線器を組み合わせた、通称:シメラー。

(所在地:六ケ所村。明らかな、原発マネー。)

最軽量の10kN(1.0T)仕様でも、4.2kg。

現場では無論、適応する張力を意識して工事することはない。

(細線は、ロックなし構造。太線は、ロックあり構造。この程度の認識で、断線・脱落しないことが不思議。)

また、泉精器製作所手動式圧縮工具(通称:手動圧縮器)である、EP-300N(通称:8トン)とEP-410A(通称:12トン)。

それぞれ、4.5kg~5.9kg。

その全長は、工具袋からもはみ出るサイズで、取り回しは最悪。

(必ず、ヘッド側から工具袋に入れる。誤って柱上から落下させると、研修センター内グラウンド10周の私刑。)

現在では、充電油圧式圧縮工具(通称:電動圧縮器)が主流。

だがその実態は、すぐに死ぬバッテリパックと、充電に渋滞する充電器

始業1時間前に出社し、電池残量の確認。

これが、配電部門に代々伝わる、新入社員の悪しき責務。

(慣れてくるといい加減になり、本当に必要な時に電池切れ。結果、柱上で前述の手動式圧縮工具を振り回す羽目に。)

電線サイズやC形コネクタ(通称:Cコン)に応じた、適応ダイス(コマ)と圧縮回数を覚えるのが、非常に面倒。

(S5-9.7とAC-32。直営は、この二つしか使わない。ちゃんと使い分けている外線施工者は、非常に優秀。)

これらの資機材(資材・工具)を、無理な作業姿勢で前のめりに持ち上げると、まず間違いなく腰痛を発症。

(30分未満の軽作業や、配電線事故復旧のような忙しない現場では、柱上作業台を省略。よって、直営が安定した作業姿勢をとれることはない。)

労災認定されることもなく、大多数の電力社員が、生涯に亘って泣き寝入り。

(会社への絶対的な忠誠こそが、一説に3,000万円~4,000万円とも言われる退職金に対する、恩義。)

世の中全体の機械学習が進む中、配電の現場では今もなお、人間様による単純作業が避けられず。

圧縮器、ヨーシ!

ダイス、ヨーシ!

圧縮位置、ヨーシ!

圧縮シマース!

(キュキュキュキュキュキュ)

圧縮、ヨーシ!

電力社員が、圧し縮めているのは。

スリーブではなく、自らの将来と可能性。

 

以上、電力会社を辞めた理由㉞についてご紹介しました。

電力会社を辞めた理由㉟にて、引き続きまとめていきたいと思います。

それでは、また。