電力会社を辞めた理由㊵

LINEで送る
Pocket

どうも、しそです。

今回は、電力会社を辞めた理由㊵についてご紹介します。

(電力会社を辞めた理由㊴の続編です。)



公道上作業におけるリスク

電力会社の配電部門では、高圧6.6kVの配電設備(配電線)の管理が主な仕事です。

地上十数メートルの上空で、電線を支える支持物(電柱)は、主に道路の脇。

(極力民地に入れるよう、自治体からの指導。道路上に建柱する場合でも、民地境界に半分ずつ掛かるよう、中心に建てることがセオリー。)

最近では、新設される道路の交差点は右左折しやすいよう隅切りされていることが多い。

よって、交差点には電柱が建てられず、一般用三角スペーサ高圧水平T分岐スペーサによる無謀な延線。

(電柱の装柱【京都編⑥】を参照のこと。高所作業車がないと到達できず、故障時の修理が困難。)

道路上に建柱することのメリットは、個人所有の民地と比べると、交渉が容易。

(今どき、年間でたかだか数百円から千数百円の電柱敷地料では、誰も貸してくれない敷地。土地の評価額は下がるし、支障移設にも自己負担が発生する可能性大。)

反面、最大のデメリットは、道路の有効幅員の縮小。

標準テーパーの電柱(1/75)の末口(上部)が19cmのため、元口(下部)は約40cm。

よって、幅員4.0mの一般的な道路であれば有効幅員は3.6mとなり、普通車の擦れ違いは困難。

(最近の新型車は、全幅1,800mm強のワイドな普通車ばかり。)

土地の選び方①でも多少紹介した通り、現実には2項道路と呼ばれる4m未満の道路が接した土地が多くあります。

そのような狭小地にも、電気を送り届けることが配電部門の使命。

特に狭い道路で問題となるのが、高所作業車のアウトリガーの張り出し。

(電力会社を辞めた理由㉙を参照のこと。民地の薄いコンクリを割ると、損害賠償。)

このような場所では、転倒方向となる民地側(電柱に近い側)のアウトリガーすら張り出せない。

有無を言わさず、転倒覚悟でその場のジャッキアップ。

(安全装置が働けば諦めるが、問題なく動けば作業は続行。真上に上がるだけだからは、嘘。伸縮・傾斜・旋回しまくり。)

アウトリガーが張り出せないだけなら、まだマシ。

道路側(電柱から遠い側)に、歩行者用の仮設通路や、十分な幅員の車道を設けることが現実的に不可能。

具体例を挙げると、高所作業車に用いられるベース車両は、日野:デュトロいすゞ:エルフ三菱ふそう:キャンターが多い。

これらの車両の全幅は、1,695mm。

ただし、ドアミラーは含まないため、実質2.0m。

(道路側は畳むが、完全には収まらない。作業が終わり走行する際に戻し忘れることが、あるあるの一つ。)

これでは、作業に必要な安全距離は保たれず、歩行者や通行車両がトラックのすぐ脇を通過。

交通整理員を置くとしても、直営による雑工事の場合は、素人の交通誘導警備

資格者配置路線(主に国道)であっても所構わず、大概は新入社員が意味も分からず、適当に紅白手旗を振っている現実。

(外線施工者の場合は、交通誘導警備業務検定と呼ばれる国家資格を持つ、有資格者を配置する。工量として時給2,000円~3,000円を支払うが、実際に本人に行き渡る額は不明。)

この時点で、正面衝突事故が起きるリスクもあるが、何よりも怖いのが柱上からの落下物。

電力会社を辞めた理由㉞でも多少紹介した通り、柱上では腕金・碍子・圧縮器と言った重量物を取り扱う。

(時には、100kg超の柱上変圧器ですらも吊上。玉掛けに使用する、ワイヤーロープやナイロンスリングの点検・管理は、超絶いい加減。基本的には、千切れるまで使用。)

柱上からの落下物は最大のご法度であると教育されている、配電業務の従事者。

それでも、人間のやることに完全はなく、頻繁に落ちて来る資材・工具。

地上で作業する地上員は、ヘルメットを被っているため、ボルト・ナット程度であれば軽傷。

さて、一般公衆はどうか。

歩行の際も、運転の際も、丸腰。

最低でも、車両損壊に伴う物損。

最悪は、頭蓋骨陥没で刑事事件。

業務上過失致死傷罪で、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金。

こうなれば、もう電気工事どころの騒ぎではない。

明日は我が身の、犯罪者予備軍。

手が滑ったと、そんな言い訳は無用の長物。

誰が好き好んで、電柱なんぞ昇るものか。



まやかしの道路使用許可

先程から、公道上での配電工事における不平不満をぶつけていますが、何よりも問題があると憤りを感じているのが、道路使用許可

これは、公道上での自動車事故を未然に防ぐ目的で、実施されるもの。

本来、道路上では不可能な工事または作業を行うために、交通の妨害とならないよう配慮し、警察庁(実務は各地方の警察署)に特別に許可を貰って初めて対応が可能な代物。

もちろん、電力会社の保修車と高所作業車等の特殊車両は、管内全域の道路に対し緊急自動車の指定申請書を届出しています。

よって、故障の予想ができない不点保修・交通事故・配電線事故等に伴う、緊急工事の駐車はOKと言う解釈。

法律に則ったやり方で、ここまでは問題なし。

しかしながら、この届出のポイントは、あくまでも緊急時の工事または作業に限ると言うこと。

よって、計画的に実施される雑工事(通称:雑工)は、対象外。

(電力会社を辞めた理由㉝電力会社を辞めた理由㉞電力会社を辞めた理由㊳を対象のこと。大したことはやっていないが、ガッツリ道路を使用。)

現に、入社3年目に行われる配電工事技能教育一次では、現場での工事の都度、所轄の警察署に届出をしている。

(電力会社を辞めた理由⑬を参照のこと。最も思い出したくない、大殺界。)

法令順守なんて、口だけの嘘ばっかし。

たまたま事故が起きていないから良いものの、その気になれば行政にしょっ引かれる電力会社。

これは、警告。

このブログを面白半分で見ている、現役電力社員の皆様方。

元電力社員の目線で、たまには実務上のおかしな点や、改善が必要なヒントを出しているつもり。

誰もやっていないからと現状維持では、いざと言う時に傷付き切り捨てられるのは、自分。

今後も電力会社に残り続けるつもりであれば、人に言われる前に、まず行動。

決別しなきゃ、悪しき過去と。

変わらなきゃ、価値ある未来へ。

 

以上、電力会社を辞めた理由㊵についてご紹介しました。

電力会社を辞めた理由㊶にて、引き続きまとめていきたいと思います。

それでは、また。