電柱の装柱【大阪編①】

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どうも、しそです。

今回は、電柱の装柱【大阪編①】についてご紹介します。

(電験食事会@難波 2019.04.12の続編です。)




編集の経緯

先日、電験食事会(Twitterのオフ会)に参加するため、大阪府のなんば(通称:ミナミ)を訪れました。

飲み会を待つ間に、少々の待ち時間が発生したため、私の趣味である配電設備の巡視を行って参りました。

(サレンダーするなら今のうちだぞ。)

電力会社によって千差万別である、電柱の装柱。

そのディープな世界の魅力と芸術性について、ご紹介します。



マンションの構内専用柱。

柱上変圧器二次側端子を出てすぐの箇所に責任分界点が設けられており、内線設備であるCVTケーブル(共用幹線)が接続されている。
(電灯:2回線、動力:1回線。賃貸・分譲戸数を稼ぐため、借室電気室を設けない集合住宅。)

見ての通り、電灯:2回線に電線ヒューズが見受けられず、一見すると低圧回路の過負荷・短絡保護が不足しているように見えるが、これにはそれなりの理由がある。

(都会の電力会社では、CV用電線ヒューズなる仕様が存在。地方の電力会社では、未だにIV線相当の仕様が一般的。100sq以上の大容量電線ヒューズの圧縮は、ひげ出しによる電線サイズの変換が面倒。)

配電用変電所に近い街中の高圧配電線(通称:フィーダー)は、絶縁電線が少なく、亘長が短い。

(高圧ケーブルが多く、1線地絡電流が大きい。B種接地工事の抵抗値を小さく維持する必要があり、費用がかさんで不経済。)

余談だが、大阪のような大都市圏では、敷地の占有と変圧器騒音の観点から、地下式変電所が多い。

(郊外に設置されるような屋外式開放形または屋外式GISの変電所は、威圧感がある。屋内式C-GISを採用した場合でも、建屋外観は意匠に配慮した設計となることが多い。)

その結果、周囲の景観に沿うと同時に、テロ対策にもなる。

(と言うが、今どきはGoogle マップで調べると普通に出て来るが、これで良いのだろうか。)

話を戻すと、このようなフィーダーでは%インピーダンスが小さく、その定格遮断容量は過大。

短絡時許容時間Ts[s]>電線ヒューズの溶断時間Tf[s]>CFヒューズの溶断時間Tc[s]となる場合は電線ヒューズが無意味となり、CFヒューズによって絶縁電線・ケーブルの保護ができていると解釈する、ウルトラC。

(Ts[s]は、絶縁体の種類・許容温度で決まる。CFヒューズによる縁切りが可能な、構内専用柱かつ100sq以上の太線の現場に限り、電線ヒューズを省略可。)

また、CFヒューズの遮断特性として、通電電流:12,000[A]を遮断することとある。

(最大系統短絡容量150[MVA]から算出すると、通電電流:12,500[A]だと思うが、500[A]の差はどこから来るのだろうか。)

そもそも、柱上変圧器の過負荷運転は当たり前。

その利用率は、30[kVA]以下は定格容量の160[%]以下、50[kVA]以上は定格容量の150[%]以下となるよう、営配システムで定義。

(現実に過負荷となるタイミングは、24時間単位で考えれば瞬間的。)

特性曲線もそれに沿ったものとなっており、需要設備が申告通りの契約電力であれば、過負荷で動作することはまずない。

(電力会社を辞めた理由㊲を参照のこと。本体価格が安く、酷使される割には長持ちする優れもの。)

CFヒューズの定格電流は、柱上変圧器の定格容量[kVA]*1.5/6.3[kV]で求められる。

(高圧回路の電流が最大となる条件である、柱上変圧器の最下位タップ6,300[V]を考慮。この時点で、既に150%の過負荷。)

そして、CFヒューズの過負荷耐量は、140%の連続通電に耐えるよう性能が定められている。

このことから、実際の溶断特性は1.5*1.4=2.1倍。

つまり、柱上変圧器に定格電流の2.1倍(利用率:210%)もの負荷電流が常時流れ続けたとしても、CFヒューズは動作しない。

(そんな装備で大丈夫か?)

これが、経済的合理性。

利用率で管理していると言いながらも、厳密にはこのような運用。

よって、電技第14条に沿っているかと言われると、正直グレー。

それが、配電。

とある外線施工者によると、変圧器吊替工事で筐体に触れたところ、素手では触れないほどの高温となっていたことがあるとか。

(本人はぐつぐつ沸騰していたと言っているが、絶縁油の沸点を考えると、過負荷状態による発泡ではないだろうか。)

例外として、借室電気室内に設置される変圧器は、定格電流の範囲内で使用するよう、火災予防条例で定められている。

(一般的に特高・高圧需要家の需要率は小さく、自構内で過負荷運転となることはそもそもない。)

その他の装柱に着目してみると、高圧分岐線は槍出しの腕金に、無理やり架線。

地支線は当然なく、B種鉄筋コンクリート柱(通称:B種管理)と言う名の、いい加減設計。

分岐末端となることから、同じ腕金に避雷器(通称:LA、アレスタ)が設置してある。

(線間短絡を防止するため、千鳥に接続。)

特筆すべきは、柱上変圧器の変台。

京都の装柱と比べると、明らかに道路側にせり出し、ベランダからの離隔と柱上での作業空間を確保。

(電柱の装柱【京都編⑤】を参照のこと。防傾目的に設置されている、アームタイ代わりの金物が珍百景。)

ここまで極端な不平衡荷重ともなると、誰がどう考えても前方に傾斜して来そうなものだが、そこは座屈に強い電柱。

うまい、やすい、はやい。

電気供給における電柱の立ち位置は、牛丼並。

 

以上、電柱の装柱【大阪編①】についてご紹介しました。

電柱の装柱【大阪編②】にて、引き続きまとめていきたいと思います。

それでは、また。