電力会社を辞めた理由(74)

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どうも、しそです。

今回は、電力会社を辞めた理由(74)についてご紹介します。

(電力会社を辞めた理由(73)の続編です。)




電力学園の歴史

その実、私も全容を知らない話をします。

その昔、電力会社には電力学園と呼ばれる企業内学校がありました。

戦後の昭和29年、物資も人材も不足した時代に発足した、高校教育無償化が当たり前の現世では到底考えられない、特殊な学校。

電力会社を辞めた理由(62)でも多少紹介した通り、文字通り金の卵の彼らは「学園卒」と呼ばれ、即戦力の職人として期待された存在。

(今ほど、頭脳労働が必要でない時代。電気土方として代わりの効く、良質かつ安い労働力。)

東電学園関西電力学園を始めとし、同じ頃に他の電力会社にもほぼ同様な学園が発足。

当初は配電・火力・原子力・送電・発変電と多岐のクラスに分かれるが、総じて座学はてんでダメ。

頭で考える前に、まず手が動く。

本人の素質・やる気がどうと言うよりも、それが現業員として職人を求める現場のニーズ。

冷静に振り返ってみると、物資や人材どころか、何よりも正確な情報が不足していた昭和の時代。

その全てが根性論と本人の自己責任でまかり通り、それがその時代を生きる者たちの、選択肢を与えられぬ悲しき常識であった。



中卒直後の洗脳

実際問題、学園卒の技能は電気屋として一級品。

卒業生の誰を見ても、基本単位作業であるバインド線の結束一つをとっても器用であるし、送配電部門では必須となる伐採についても、直営としては高い水準にある。

(中央三社に至っては、今もなお直営部隊を抱える。しかしながら、建柱から伝送路構築まで、全作業に対応できる電力社員は存在しない。)

全体的な安全意識は低くないはずだが、経験と勘に頼る割り切った作業を行う社員も多数。

(電力会社を辞めた理由㉘でも多少紹介した通り、素手で高圧線にバインド線を巻く学園卒。その昔でも、十分にアウト。)

しかし、給与を貰いながら高卒資格が取得できるとは言えど、世間一般からの扱いは中卒。

(教育中の、脱走者多数。過酷な訓練に耐えきれず退職すれば、高校中退扱い。)

現代のような気軽な転職はまずできず、自身の生涯を電力会社へ尽くすことを、年端も行かぬ15歳から強いられる。

(そもそも、好景気を生きた彼らにとって、地方において電力会社以上に高い年収水準の職場はなかっただろうが。)

本人の熱意や使命感を煽り「辞めたら負け」と言う、古い教えから成る洗脳。

(警察学校工科学校教育隊よろしく、企業文化に沿わない者は入学時点で弾かれる。)

研修中に何度殴られても、頭を垂れて指導を請う。

(ヘルメットの上からレンチで殴られるなんて、朝飯前。)

柱上で危険作業を行った場合は、降柱後に指導員から電線束を投げつけられ、殴る蹴るの集団リンチ。

それもそのはず、最初期の指導員は旧陸軍上がり。

(よく冗談で電力会社は軍隊と言うが、あながち間違いでもない。)

そこまでして得られるものは、出世とは無縁の末端組織である、最下層の営業所勤務。

歪曲しきった教育から、上層部に対して現場で不満を積もらせた結果、震災を機に電力会社を退職して抵抗勢力となる輩も多数。

事実、電力学園で最終的に残ったクラスは、比較的頭脳を必要としない送電・配電のみ。

(電力会社としても、企業活動の根幹である発電所・変電所・系統運用部門には、博学な有識者を置いておきたい。)

そうとは知って知らずか、日体大仕込みのエッサッサを舞い、偽りの協調性を磨く電力学園の生徒。

平成の世に入り、時代にそぐわなくなった電力学園は次々に廃校となったものの、その卒業生である現役電力社員・子会社出向OB社員は、未だこの令和の時代にも生き続けている。

(東電学園2006年3月卒は、満32歳。関電学園2002年3月卒は、満36歳。)

工業高校卒・高専卒が増えた電力現業にとって、学園卒のボリュームゾーンは50代・60代と言えども、今なお残る怨念。

直に退場する人たちとは言えど、その後進は学園卒から教育を受け育った猛者ばかり。

先輩のそのまた先輩の経験による、私の伝聞はこれで終わり。

「電力会社の発電部門や小売部門は負け組の中小企業と化するが、送配電部門だけは大企業として今後も生き残る勝ち組だ!」と錯覚している、盲目な就活生の皆様。

悪いことは言いませんので、配電現業だけはやめておきませんか。

昔なら中卒が担っていたはずの仕事を、今では高卒・高専卒・学部卒に充当。

現状の最底辺である、高卒入社の私ですらその存在に疑問を抱き、見限られて転職を選択される電力会社。

こんなブログを嗅ぎつける嗅覚のある者が、その独特な企業文化に染まれるはずがないのだから。

 

以上、電力会社を辞めた理由(74)についてご紹介しました。

電力会社を辞めた理由(75)にて、引き続きまとめていきたいと思います。

それでは、また。