電力会社を辞めた理由(76)

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どうも、しそです。

今回は、電力会社を辞めた理由(76)についてご紹介します。

(電力会社を辞めた理由(75)の続編です。)




知らぬ耐荷重

電力会社の配電部門では、劣化した事業用電気工作物の修理のため、日常的に電柱へ昇柱して電気工事を行います。

素昇りの場合は、藤井電工柱上安全帯の胴綱・本フックを頻繁に架替し、無防備な状態からの墜落がないよう、常に気を張った慎重な作業が必要。

ところが、横着をする電力社員は「胴綱を肩に掛けたままでも、2段までなら昇ってもセーフ!」と、不安全行動丸出しの俺ルールを展開。

(更にいい加減な電力社員は、足元に本フックを垂らしたまま、複数段の足場ボルトを昇って行く。)

いずれも、本来は模範となるべき中堅社員に多く、誇り高き配電マンとしては問題外の発想。

(墜落の原因となるだけでなく、運が悪いと外灯や自動点滅器に接触し、設備修理のための昇柱が設備故障を誘発。)

一方で、理不尽な怒声で新入社員を洗脳・恫喝する、研修センター。

(電力会社を辞めた理由⑥を参照のこと。電力学園の軍隊式スピリッツは、今なお健在。)

電力会社を辞めた理由㉝でも多少紹介した通り、昇柱の際に頼りになるのは、耐荷重150kgの頼りない足場ボルト。

新入社員研修では、予備フックを足場ボルトに掛けて本フックへ架替するよう教育を受けたが、これにはメーカーも苦笑いする非推奨の不安全行為。

10年以上前に発行された柱上安全帯の取説を見ると、「安全帯フックはステップボルトに掛けないでください」との記載。

新入社員の当時、研修センターで新人教育を受講し始めた際に、この大きな問題に気がついた、なぜなぜ好きの私。

上記のエビデンスを添付し、すぐさま研修センターの副所長(配電担当)へ質問。

それに対し、期待外れの素っ頓狂な回答をする馬鹿副所長。

(理解のある指導員はフォローを入れるが、この時点では抜本的にルール変更はされず。本店・上司・先輩の言うことは、嘘でも真である。)

後に「予備フックは固定が強固なバンドのボルトか、電柱本体に胴綱を巻き付けて掛けること」と社内ルールが改められるが、それも実際に墜落災害が起こってから。

(電力会社を辞めた理由㊶を参照のこと。完全無欠のコンクリート柱であっても、表面剥離には勝てず。)

問題発覚から既に5年以上が経過しており、これが世の中の変化に追従できない、大企業病の代表症例。

(昔からそうだから。誰もそうしていないから。言ったところで変わらないから。根拠・理屈・理由に欠けた、病的な思い込み。)

全国的にこのような問題が生じていたことが容易に想像されるが、そこは一度決めたことを撤回できない、頑固一徹の電力会社。

思考停止したその強靭な圧力に屈したのか、いつの間にやら取説の記載が「構造物側フックをステップボルトに掛ける場合は下記の事を厳守してください」(参考資料:P.8参照)に変更。

仮にステップボルトの根元に掛けたとて、作業時・昇柱時の不意の振動によって、予備フックが先端まで移動することは想定の範囲内。

配電現業において、絶対的な安全など何一つとない。

目の前の危険を誤魔化し、己が信念すらも屈服。

人を騙すには、まず自分から。

このような環境下において、正気を保ったまま働くことなど、元よりできるはずがない。



一発退場の光回線

電柱の上方にある、強電と呼ばれる高圧部・低圧部に辿り着くためには、下方に無数に張られた弱電線の回避が必要となる。

前述の通り、予備フックを掛けた状態で胴綱・本フックを架替するが、うっかりすると弱電線に荷を掛けることがある。

(足元をよく見ず昇柱すると、バンドや足場ボルトと思った箇所が弱電ケーブルだったりする。特に、疲れが溜まって作業を省略しがちな、見通しの悪い早朝・深夜作業時にやりがち。)

ケーブルテレビや有線放送の幹線ケーブルであれば、その太さもあって機械的強度はそれなりにあり、多少の荷重には持ち堪える。

ところが運悪く、極細の電話引込線を踏み抜けば、瞬く間に断線。

(安全靴だけでなく、工具やロープを引っ掛けることも多い。)

「そう言えば昼間、電力さんが電柱に昇って作業されていたのですが。」

(その場では気が付かなくとも、しばらく経ってから電話が繋がらないことに気が付き、お客さまトラブルに。)

構造が単純なため、比較的早期に復旧できるのがまだ不幸中の幸い。

(電力社員に、電話線工事のスキルは一切ない。廊下に立ってなさい状態で、情けなくも電話工が修理する様子を地上から只々傍観。)

また、特に問題となるのが光回線。

うっかり踏みつけ、傷付けたり断線させると、すぐさま全国的なネットワーク障害に発展。

(チェーンソーにて低圧部の伐採を行う際、枝の影に隠れて光回線ごと伐採することが多々ある。障害の対象となるエリアが、故障部の直近とは限らないのがミソ。)

数千万円級の損害賠償は避けられず、一個人のキャリアは取り返しがつかない、島流し左遷コース。

(俗に1回1,000万円と現場ではよく言っていたが、損害賠償を支払いする事態に直面したことがないため、真相は分からず。)

高所作業車を使って昇柱する際でも、バケットの影となるとブーム昇降によって引き千切ることから、一瞬たりとも油断は許されない。

(電力会社を辞めたり理由㉙を参照のこと。機動力は作業員一人に相当するとのでっち上げ理論で、下請けの人員不足をたらし込む電力会社。)

片や送電部門に用いられる鉄塔は、電柱のように弱電線が必要な道路上に面していない。

強磁界による誘導障害の懸念もあってか、鉄塔上に弱電線が共架・添架されることはまずない。

よって、昇塔に伴う弱電線の断線リスクはゼロ。

このように同じ送配電部門であっても、送電部門が一般公衆へ迷惑を掛けるリスクと、自身のキャリアを犠牲にするケースは圧倒的に少ない。

ほんまコスパ悪いな、配電。

 

以上、電力会社を辞めた理由(76)についてご紹介しました。

電力会社を辞めた理由(77)にて、引き続きまとめていきたいと思います。

それでは、また。