電力会社を辞めた理由(84)

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どうも、しそです。

今回は、電力会社を辞めた理由(84)についてご紹介します。

(電力会社を辞めた理由(83)の続編です。)




特殊計器の全量委託

電力会社の電気供給約款(契約メニュー・契約プラン)には、多様な選択肢があります。

基本契約である、24時間問わず電気料金単価が同じな従量メニューの他に、TOUとも呼ばれる、日中・ピーク・夜間(及び休日)の電気料金単価が異なる季節別時間帯別メニュー(通称:季時別)。

その昔、50kW未満の一般用電気工作物である低圧契約は、非効率的ながらも数ある契約種別ごとに電子式のメーターを準備し、停電にて取替を行っていた。

(更にその昔は、誘導形のアナログ計器。不正計量されやすいのも、この型式。)

今どきは、全てスマートメーターの内部データ書き換えにて対応可能。

(突如祝日が増えたりして、カレンダーが変わると一苦労。電力社員にとって、山の日と天皇即位日は悪でしかない。)

一方、50kW以上の自家用電気工作物である高圧・特別高圧契約では、未だに従量・季時別ごとにメーターを準備し取替。

(名ばかりスマートメーター。元からある500kW以上の大口需要家向け遠隔自動検針システムと、電気料金見える化サービスを、希望する300kW未満の小口高圧に対しても解放しただけ。)

中でも問題となるのが、新増設・プラン変更の際に季時別となるケース。

暇を持て余した営業担当は、

「お客さまの電気の使い方ですと、季時別契約がお得です!」

と余計な真似をし、会社の利益を減らし配電の仕事を増やす。

(本来、新設時には加入できない業務用ウィークエンド電力契約も、何の気なしに二つ返事で締結。既得権益の横暴を許すな!)

そして実務を担う配電は、恥ずかしながら自前で季時別計器を設定・出庫できない。

何故か。

見出しにもある通り、特殊計器(大口計器・季時別計器・オール電化付帯計器)の設定・工事は、子会社である●●計器工業(以下、●計工)へ100%委託。

(出向者を除くプロパー社員の給料は、親会社である電力会社本体の7~8割。優秀な従業員の知識・技能は、大多数の電力社員を超える。)

それもそのはず、驚くべきことに電力会社の貯蔵品には、契約メニューの設定ソフトと時間帯別計器が一切ない。

(感圧式を採用する、時代遅れのペンパソコン。CPUが安物で、立ち上がりが遅い。アプリの開発が追いつかず、静電式タブレットへ切り替えできない現場。)

平素の仕事は、●計工が設定した設定ログを打ち出し、人間系で印刷物をチェック。

(理屈を全く理解していない電力社員が、偉そうにもプロの仕事を念査。釈迦に説法。)

運悪く、WHM・VCTが雷被害に遭い消灯・計量不能となると、盆正月も関係なく●計工を呼び出し。

(本音としては、重量物であるVCT取替は外線施工者に任せたい●計工。変圧器吊替同様の重量作業のため、資機材・体力・人足の全てが不足。)

良かれと思い、仕事を100%受注できるよう会社間で談合されるが、ガチガチの決まりによって疲弊する現場。

(メーターの設定保持240h制限により、チェックターミナルとVCTのみ先出しする苦肉の策も。)

送配電部門においても、競争入札・分離発注が拡大している中で、覆されるず守られる聖域。

電力会社を辞めた理由(65)でも多少紹介した通り、未だにPDAが現役の現場では、情報分野への投資が非常に手薄。

電力会社の伝統である、温かみの感じる手作りの紙ベース・人間ベースの働き方は、もう世の中には通用しない。

富士通に騙され、ぼったくりのCeleronで満足する前に、Core i5を使いこなせる人材へと昇華せよ。

速く電線を繋ぐだけが、配電の仕事じゃねえぞ。



短絡で溶ける高圧線

電力会社の配電部門では、更新時期の来た電線を定期的に張替します。

その基準は明確になく、概ね15年~20年を経過すると、設計担当のさじ加減で受け持つ担当エリアの電線を適当に張替。

(絶縁被覆や心線の劣化を定量的に計る手段はなく、変圧器・無停電機材等の接続痕が増えると張替。現場ではよく見るが、同径間に直線スリーブ2個使ったらあかんのやで。)

外線工料・設計負荷のどちらを考えても、明らかに楽で儲かり、設計者・外線施工者ともニンマリ。

配電線の短絡容量に、系統切替による裕度20%を考慮した短絡時許容電流の設計。

早見表としては、系統のパーセントインピーダンス:%Zが10,000kVA換算で17.8%を下回ると、負荷電流に応じて太線のAL240sq(幹線)やAL120sq・SN-OC5.0mm(分岐線・引込線)を採用。

(一般的な高圧絶縁電線のSN-OC5.0mmの場合、理論的には I=134*π*2.5*2.5/√0.2=5,883[A]が一つの目安となるが、架空線工事指針を鵜呑みにし、その算定根拠を理解していない不勉強な配電。)

実際にあった問題として、変電所引出口近くの高圧需要家で、高圧引込線の張替が必要なタイミングが来た際のこと。

何故か既存の高圧線はSN-OC5.0mmで、300AのPASが必要となるような三相短絡電流8,000Aを超える都心部の現場。

(既に電技違反であるが、電気主任技術者はつゆ知らず。所詮、サラリーマン経営者。)

高圧引込線を受ける屋上架台は錆びて朽ち果て、とてもではないが太線の架線は困難な現場。

前もって電気主任技術者に交渉しておけばそれまでのこと、高圧停電工事の直前になって電力社員は周知。

「どうにもならんし、鉄工所に金物を作らせて適当に補強するわ!」

張力計算根拠ゼロの電気主任技術者と、現状維持で細線での張替を実施する電力会社。

(アーケードのある高層ビルの屋上に向け、上方へ架線するのもナンセンス。地中化は無理にせよ、せめて高圧ケーブル引込。これだから街中は嫌い。)

事実、日頃からろくに確認もせず高圧線を延長していることが露呈しており、私の実家前の電線も短時間許容電流不足。

「単相区間で、三相短絡が発生しないからセーフ!」

とでも言うのだろうか。

(安易な抜け道。三相申込があれば、何も考えず同サイズで中線を延線するだろうに。)

通信事業者に対する土管屋と言う揶揄があるが、電気事業者もそう変わらぬ現状。

電力需要の大半を高圧・低圧部門で稼いでいるとは思えない、極めて雑な配電線路。

いかに低い電源品質まで、顧客は耐えることができるかの、我慢大会。

我が国はもう先進国でないと言うことを、身を以て知る配電現業の真実。

MADE IN JAPNは、もう誇れない。

 

以上、電力会社を辞めた理由(84)についてご紹介しました。

電力会社を辞めた理由(85)にて、引き続きまとめていきたいと思います。

それでは、また。